〜お便器キャスター〜 | |
第一話 「お天気お姉さんの衝撃発表」 朝の情報番組として人気の「おめざめテレビ」。 最新のニュースはもちろんのこと、スポーツ、芸能、エンタメ情報など幅広く扱っており、出勤を前にした社会人などの貴重な情報源となっている。 また、出演する女性キャスターは粒ぞろいで、女性キャスター見たさに番組を視聴する男性たちも多いという。 ある日、いつも通り始まったその番組の途中で発表された内容は、世間に大きな衝撃を与えた。 あまりの衝撃に会社を休んだ人も少なからずいたという。 その衝撃の発表は、MCである男性アナウンサーの呼びかけから始まった。 「え〜、今日は、杏里ちゃんから重大発表があるそうです。 杏里ちゃ〜ん」 スタジオから画面が切り替わり、お天気キャスターの藤井杏里の全身が映し出される。 いつもと変わらない、愛らしい笑顔。 しかし、首につけられた真っ赤なペット用の首輪と、そこからつり下げられた札の「便器」という文字が、いつもとは異なる異常さを発していた。 お天気お姉さんである藤井杏里の突然の精液便器宣言。 しかも、番組内で公開調教されるという。 そして、爽やかで愛らしい彼女の存在とは、対極にあるような穢れた言葉の数々。。。 誰もが自分の目と耳を疑う内容だった。清純な彼女がそんなことを言うはずなどありえないことである。 しかし、彼女の笑顔に曇りはなく、しかも、右手の指は自らの秘部にあてられ、スカートの揺れはその指が動いていることを示していた。 そう、彼女は脅されたりして無理やり言わされているのではなく、間違いなく自ら望んで精液便器になると言っているのである。 「この女、清楚なフリしてただけだったんだ。人間の本性なんて、上辺だけじゃ分からないもんだねぇ・・・」 誰もがそう考えて、納得するしかなかった。 藤井杏里、21才。彼女は「おめざめテレビ」でお天気キャスターを務める現役女子大生である。 「美しい」というより、「可愛らしい」という表現がピッタリで、幼さの残った相貌に華奢な体格。 出勤前の憂鬱な気分を彼女の笑顔で癒されるという人も多く、老若男女、誰からも愛される存在である。 (いいぞ〜、杏里ぃ、そうだ、お前は精液便器だぁ。 男どもの欲望を悦んで受け入れるただの肉壺だぁ。 くっくっくっく・・・ 杏里ぉ、清楚なお前を汚し尽くし、とことんまで堕としてやるからなぁ。 オレ様を振った罪、思い知るがいいぞぉ。) スタジオの隅で下卑た含み笑いを抑えきれない男がいた。 「おめざめTV」のプロデューサーの山垣である。 小太りで頭頂部はハゲており、その垂れ下がった細い目は如何にも「スケベ親父」という印象を与える。 彼は、業界では敏腕プロデューサーで通っており、少なからず影響力を持っているという。 1ヶ月ほど前、彼は、杏里に愛人契約を結ぶことを要求した。 まだ女子大生の若々しい肉体に愛らしい容姿。山垣はこの杏里を自分のものにしたいという欲求をストレートに伝えたのであった。 山垣が杏里に愛人になる対価として提示したのは、この業界での将来を保証すること、彼女の望むどんな仕事も融通すること、また、高級マンションを与え、月々高額のこづかいを与えること、であった。 山垣にとっては、これらは考えうる限りの好条件のはずであり、また、同様の条件で何人ものタレントや女子アナを愛人にしてきた経験もあった。 しかし、杏里はあっさりと断った。 「私、山垣さんのことプロデューサーとして尊敬していますし、色々と良くして下さって感謝しています。 でも、私、愛人とか、そんなの絶対したくないと思っているんです。 恋人なんて今はまだいませんけど、いずれ出会う人に対して、そんなことするのは裏切りのような気がするんです。 どうか、山垣さんも、奥様のこと大切にしてあげて下さい。」 まだ、男を知らない清純な杏里らしい回答だったと言えるだろう。 「あっ、そ、そう、そうだね。 杏里ちゃんには、愛人なんて似合わないよね。うん。 そうかぁ。今日は、かあちゃんと寝ようかなぁ。はっはっはっは・・・ あ、今日のことは忘れてね。」 山垣は必至で笑顔を作ってその場を治めたが、ハラワタは煮えくりかえっていた。 (くっそぉ、このアマがぁ、ナメた口ききやがってぇ! 何が、いずれ出会う人だぁ。何が裏切りだぁ。 清純ぶりやがって、女なんか、一皮むけば、発情期のメス犬と変わらないんだよ! 世間知らずのバカ女がぁ。お前なんか、もう愛人になんて絶対してやらないからな。 そうだ、せいぜいしてやって、性奴隷だ。 いや、ダメだダメだ。もっともっと堕としてやる。 あらゆる男のどんな歪んだ変態欲求にも答える精液便器にしてやるぞぉ。 杏里、お前は人間以下、奴隷以下のただの肉便器だ!公衆便女だ!) もちろん、ただの逆恨みに過ぎない。 しかし、山垣は業界で権力を手にすることによって増上慢になっていた上に、杏里は山垣の初恋の人に似ていた。 中学生の頃、山垣は勇気を出してその人にラブレターを出した。しかし、期待と不安の中、告白の回答を待つ山垣が目にしたものは、クラスの黒板に張り付けられた自分のラブレターであった。自分の純真を笑い物にされ、踏みにじられた経験を持っていたのである。 そんな初恋の相手への恨みが、不条理にも杏里に向けられることになってしまったと言えよう。 その日からだった。 山垣による「藤井杏里 精液便器化計画」が始まったのは。。。 |