〜 廃品皇女 〜 | |||
第二話 「野良のメス犬」
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彼女の奇怪な行動は、集まった人々をさらに混乱させた。現実とは思えない、あまりにもありえない光景にどう対処していいかすら分からず、ただただ、驚き戸惑うことしか出来ない。 「こら、君!そんなことしちゃダメじゃないか!」 そんな中、ようやく一人の男が彼女に声を掛けた。成す術もなくただ見つめることしかできなかった人々にとっては救いの声だったに違いない。 その男は、彼女に自分の上着をかけながら、さらに言葉をかける。 「ね、ちょっと、おじさんと一緒に行こう。」 「あっ、あなた様がユフィの新しい飼い主様になって下さるんですかぁ?」 彼女の顔に喜びが広がる。 「え!? か、飼い主? あ、そうそう。そうだから、一緒に行こうねぇ。」 「ありがとうございますぅ。これで廃棄されないで済みますぅ。 ユフィ、一生懸命、ご奉仕しますし、どんなご命令にも従いますから、可愛がって下さいねぇ。くすくす・・・」 人々は、この忌まわしい出来事から開放されたことを感謝し、その男が女性をしかるべき所へ連れて行ってくれるものと思って疑わなかった。 人だかりは消え、そして、街は、何事もなかったかの如くいつもの顔を取り戻したかに見えた。 しかし、そこには、ただならぬ異臭が異常な出来事が起こったことを主張するのように漂っており、その後もしばらくは行きかう人々の顔をしかめさせた。。。 |