NOVEL


〜 廃品皇女 〜
第二話 「野良のメス犬」

 
 人々の思考を停止させてしまうような光景を繰り広げているユーフェミア。

 彼女は突如、くるりと回って、両手を壁につけ唸りだした。
 背筋をそらせ尻を突き出し、尻を震わせている。誰の目からも彼女の陰部と肛門が丸見えであった。

 「う〜ん、う〜ん・・・」

 誰もが、何をするつもりなのかと固唾を呑んで見守っている時、その答えは、不快な音とともにもたらされた。

 「プ〜〜〜」

 彼女が人々の目の前で披露したのは放屁であった。しかし、人々がその音に驚く間もなく、彼女の肛門の括約筋がみるみる伸び、その菊座がぽっかりと口を開いて茶色い物体が顔を覗かせた。

 「ブリ、ブリッ、プリッ
 ブプッ、ブリュッ、プウ〜、プッ」


 彼女は、不快音と共にボトボトと茶色い塊を落としながら、同時に小便も放出していた。辺りに汚物の臭気が広がり、彼女を取り巻く人々の輪はその半径を広くする。

 「私、壊れてなんかいませんよぉ。
 どんなご命令にも悦んで従いますぅ。

 ほ〜ら、こんなに立派にウンチもできるんです〜」


 どうやら彼女は、人々が声をかけてこないのは自分のアピールが足らないからだと考えたようだった。それで、自らの調教度合を示す為に大便をしてみせたのである。

 「でも、ウンチの処理をして下さる飼い主様がいないとご近所迷惑になっちゃうんですぅ。
 だから、どなたか変態メス犬のユフィを拾って下さい〜」


 彼女の奇怪な行動は、集まった人々をさらに混乱させた。現実とは思えない、あまりにもありえない光景にどう対処していいかすら分からず、ただただ、驚き戸惑うことしか出来ない。

 「こら、君!そんなことしちゃダメじゃないか!」

 そんな中、ようやく一人の男が彼女に声を掛けた。成す術もなくただ見つめることしかできなかった人々にとっては救いの声だったに違いない。

 その男は、彼女に自分の上着をかけながら、さらに言葉をかける。

 「ね、ちょっと、おじさんと一緒に行こう。」

 「あっ、あなた様がユフィの新しい飼い主様になって下さるんですかぁ?」


 彼女の顔に喜びが広がる。

 「え!? か、飼い主?
 あ、そうそう。そうだから、一緒に行こうねぇ。」


 「ありがとうございますぅ。これで廃棄されないで済みますぅ。
 ユフィ、一生懸命、ご奉仕しますし、どんなご命令にも従いますから、可愛がって下さいねぇ。くすくす・・・」


 人々は、この忌まわしい出来事から開放されたことを感謝し、その男が女性をしかるべき所へ連れて行ってくれるものと思って疑わなかった。

 人だかりは消え、そして、街は、何事もなかったかの如くいつもの顔を取り戻したかに見えた。
 しかし、そこには、ただならぬ異臭が異常な出来事が起こったことを主張するのように漂っており、その後もしばらくは行きかう人々の顔をしかめさせた。。。




   

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